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「僕はお前の主人でお前は僕の犬なんだよ、何が困ったことがあったら言えだよ、僕が困っててもそうでなくてもお前は僕の命令に忠実に従え、僕に舐めた口聞いたりいうことを聞かないバカ犬なら要らない、パパはお前に同情したみたいだけどあの人の一番は僕だから、僕の言う事ならパパは何だって聞いてくれる、お前を追い出すのなんて簡単なんだからな、まっ、ここで僕の犬になりたくないならさっさと出て行きなよ、貧乏で惨めな暮らしに逆戻りだけど、負け組の人間には戻れるしね、犬になってでもここでの暮らしを選ぶってなら僕としては失笑ものだけど…その軽そうな頭でもう一回よく考え直せば?」
グッと肩を押して柊吾を転ばせると天誠は冷たい笑みを浮かべて部屋から出ていった
(……犬)
柊吾はそのまま床に寝転ぶとぐるぐると混乱する自分の頭を抱えた
(見える…見えるぞ…このままこの家にお世話になる事を選んだらあの超自己中お坊ちゃんのオモチャや奴隷にされてストレスでボロボロになる!胃が死ぬ!)
『あんなに可愛い子なら男でも女でもご褒美だ』
とはならない
うまい話には裏があると言うやつかと柊吾は頭を抱えたままゴロゴロと床に転がり葛藤する
(…やっぱり帰るか?)
天誠は柊吾の人生を負け組と決めつけてくれたけれど柊吾自身はそう思ったことはない
犬になるよりかは前の生活の方がマシだし、今後ここにいても天誠といてもうまくいく未来が全く見えない
(…水無瀬さんが帰ってきたら話そう…身の丈にあった暮らしをしよう)
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