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理解できない

 どうやら、自分が酒に弱いことを自覚してるくせに、毎度酔い潰れていつも俺に迷惑をかけて申し訳ない……と、号泣しているらしい。  まあ、これも翌朝にはすっかり忘れているんだが。 「だめなやつじゃないよ、お前は」 「らって、おれっ、いつもおまえにめーわくかけてっ、しかも何も覚えてなくて……っ」 「覚えてねぇのは仕方ねーだろ」 「でもっ、このままじゃ、おれ、おまえにっ、き、嫌われるんじゃないかって……!」  言った途端、だばだばと涙を溢れさせて、とうとう喋れないくらいにしゃくり上げて泣き出した。 ──俺のほうが泣きてえよ。という台詞をなんとか飲み込む。  ひぐひぐと喉を詰まらせるやつを、適当に励ますふりをしてあしらう。 「嫌わねーから、大丈夫だって。俺は好きだよ、お前のこと」 「……っひ、く、ほん゙、どう……?」 「あぁ、」  早く泣き止んでほしい一心で、カウンターに突っ伏した背中をぽんぽんと叩く。が、こいつは所謂、ただの酔っ払いだ。  切り替えの早さを侮ってはいけない。 「じゃあ、ちゅーして?」

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