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なに?
───……
それからまたしばらく、飲んで喋って食べてを繰り返していたのだが、やつが何だか落ち着きがなくそわそわしていたのは、薄々勘づいていた。
「おれ、トイレ」
「ん、行ってら」
「……歩けね、から、一緒、来て?」
立ち上がったやつに腕を掴まれて、小さなガキのようにくんと引かれる。
途切れ途切れに、日本語さえまともに話せなくなったそいつに、俺は半ば呆れつつも、同時に心配にもなって素直に着いていくことにした。
とりあえずその時、カウンターにいた犬みたいな笑顔をする店員の兄ちゃんにタクシーを呼んでもらうよう頼んで、俺はやつの肩を担ぎながらトイレへと向かう。
「さっさとしろよー」
そこの居酒屋のトイレは男女ひとつずつしかないようで、俺はやつを個室に押し込んだあと、外で待つことにした。
ドアを背もたれに、やつが用を済ますのをぼうっと待っていると、
「……なあ、」
「ん、どうした。漏らしたか?」
「ちがっ、ちゃんと出来るわそんくらい……!」
「じゃーなんだよ」
しばらく時間が経ってから、個室から声がかかったかと思えば、ドアの隙間を開けて、同じくらいの背丈なのに上目遣いで言われる。
トイレが間に合わなかったのかとも思ったのだが、違うらしい。
ハナから真っ赤な顔をさらに赤くさせて否定されてしまった。
酔っぱらいのくせに、そういう羞恥心は一応あるのな。
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