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第3話 ドライブぶんぶん

約2時間後。 俺たちは車の中だった。 あれから尚のおばさんに旅行へ行ってくると宣言して、支度を整えると俺の愛車で走り出した。 そして今は山道にある国道をドンドコ走っていた。 1泊2日の予定で俺が選んだのは海沿いを走り、途中大きな道の駅で休憩を兼ねて浜辺で夏を感じる。 それから目的地の水族館へ行く。 朝1番に出れば良かったが、朝起きてから思いついたから遅くなってしまったので寄り道は1ヶ所のみだ。 それにしても…。 「尚、飲みもんくれ」 「え~自分で取ってよ」 「俺は運転してんだよ!!」 「片手で取れるでしょ」 「お前この道見ろよ!狭いしカーブだらけの山道だぞ!?事故ったらどうすんだよ!!」 面倒くさそうに返してくる尚と俺のこんなやり取りは既に何回目になるだろうか。 「だいたい将人が悪いんじゃん!高速走って一気にマリンスタ行けば良かったのに海までドライブ~とかって、わざわざこんな迷路みたいな山道走ってさ~。…って、もしかして、迷子?」 尚がプククッと笑いながら、こっちを横目で見てくる。 コイツのこういう所が昔から腹立つんだよな。 「チッ、迷子じゃねぇよ!!ナビもこっちって言ってるだろーが!」 ナビは一本道をひたすら進むように示している。 さっき途中に分かれ道があったが、標識が右を示していたから間違いない。 かなり寂れた、それも蔦の這う昭和感漂う標識だったが、ナビも同じく右を示していたからたぶん、いや、絶対間違いない。 「……」 とはいえナビには真ん中にくねった道以外に何も表示されてないのが気になるし、なんだか山道すぎて本当に海へ出られるのか心配になってきた。 が、尚に「やっぱり怪しいんじゃん」とか言われたくないから平然とした顔で車を走らせる。 「フッ…」 何を考えてるんだ俺は…と鼻で笑ってしまう。 俺は出来る男だからな、失敗はしない。 そう。失敗なんてしないんだよ尚くん、わかったかね?! 俺はこうして気持ちを高める術を身に付けていた。 なので、いつでも自信に満ち溢れポジティブだ。 「で、お茶くれよ」 そこで俺は、これで何度目かのお茶の催促をした。

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