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第13話 子どもかよ?
「そういうお前こそ。コロッケ作ったのはお前じゃねぇだろ!」
「そんなこと言うなら残りはぜーんぶ、俺が食べるからなっ」
とか言いつつ、尚の性格からしてそれはない。
かといって放置しとくのも後々面倒だ。
ここは俺が下手に出てやる。
たまにこうして俺が気を使ってやるのだが、当たり前と思うなよ、尚。
「悪かったって、尚。機嫌直してペンギンに会いに行こうぜ」
「機嫌悪くないし…。ペンギンには絶対に会う」
チラッと隣を見ると、ぶーっと不貞腐れている。
美少女ならともかく、男が頬っぺた膨らませても可愛くも何ともねぇぞ。
むしろやめろ。
けれど尚が本気で怒ってる訳ではないのは、分かる。
そういや、コイツが本気で怒ってるのは…見たことあったっけ?
「…ねぇな」
思わず心の声が漏れていた。
それに対して、尚が「あった!!」と叫ぶので「何が?」と返すと「看板に決まってるだろ!?」と言いながら手にしていたポップコーンをモグモグさせた。
示された方を見ると『水族館~シーワールド・マリンスタ~この道まっすぐ残り10㎞』とあった。
看板には『ボクたちも待ってるよ♪』と生き物の写真から吹き出しが出ていた。
尚の好きなペンギンもデーンと主張している。
ペンギン…相変わらず面白いフォルムだな、おい。
「あぁっ、ペンギンだぁ!!可愛いな~。もうすぐだ~!」
甘えたようなワクワクした声がする。
助手席を見ると、窓へとへばりついて通り過ぎる看板を見送る尚の後ろ姿があった。
お前…ったく、子どもかよ?
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