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第20話 ご飯ご飯
それからまたしても機嫌を損ねた尚だったが、海中トンネルの場所へ来ると一変。
「わあぁ~…凄い」
まるで海の中に居るようなトンネルの途中で、アホみたいに口をポカンと開けて見上げている。
その横顔がなんだか可愛く思えるのは普段が生意気だからだろうか。
俺と尚は暫くそのトンネル水槽を泳ぐ魚達を眺めていた。
暫くすると閉館の時間になった。
俺たちの他にも大勢の客が一斉に帰り始める。
「もう終わり?」
尚が不満に口を尖らせる。
出るのが遅かったせいで、水族館の滞在時間は短くなってしまった。
「仕方ねぇよ。今度は早く家を出てゆっくり見ようぜ」
「あ~あ~」
ガッカリする尚の腕にはペンギンのぬいぐるみ、片手にはグッズの入った袋が。
土産物コーナーでの所要時間の長さも原因のひとつだと思う。
「おいっ、腹減ったし飯食いに行こうぜ!」
「確かにお腹空いた」
「よしっ、ウマイ飯食うぞ~♪」
「ご飯、ご飯♪」
頷いた尚と共に車に乗り込むと、さっそく雑誌でチェックしていた店へと向かって出発した。
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