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第21話 宿泊場所は
そうして着いた店は、ザ・田舎といった風情ある佇まいで、蕎麦の美味しい店だった。
さすがに観光客が多いので少し待ったものの大満足の夕飯になった。
「あ~食った食った」
「美味しかったね~お腹くるしい」
俺と尚は店を出ると車に乗り、時間を確認した。
「もう8時か…」
「外も暗くなったし時間経つのマジ早いな~」
俺が呟くと、尚が空を見上げながらそう言った。
本当に、楽しい時間が過ぎるのって本当に早いもんだな。
「よし、じゃぁそろそろ泊まる場所探すか」
「えっ!?」
俺の言葉に、尚が驚きの声と共にこっちに顔を向けた。
顔も驚いてる。当たり前か。
「えっ、ちょ、将人…まさかホテルとか旅館の予約してないの?」
「あ?してねぇよ?行き当たりばったりが信条だしな~どっか空いてるだろ」
アハハッと呑気に笑った俺に尚が呆れた顔を見せた。
「ばっ、バッカじゃねぇの?!空いてなかったらどうするつもりだよ!!」
「あ?空いてる空いてる~余裕っしょ」
なんて言って車を走らせること暫し。
目星をつけていた宿に辿り着きフロントへ訊ねると満室とのこと。
連休に空きを見つけるのは至難の業だが、そんなことすっかり頭になかった。
とにかく旅行へ行きたいだけで今回、何も考えずに出発したからな…。
「マジか…」
「ほら、言っただろ?!」
そんな俺にツンッとした様子で尚が言った。
どうでもいいけど、その言い方生意気だ!!
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