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「はは、まーたやってるよ」
「相変わらず仲ええですね」
そう言ってきたのは羽村 桐野 。髪色をアッシュブラウンに染めており、過去の女関係は橙里とは大違いでかなり派手だ。橙里の二つ上で三十五歳なのだが、全くそうは見えない。
関西弁混じりで言ってきたのは戸園 蒼樹 で、とても真面目なのだがどこか抜けている。ノリが良く、元モデルのためスタイルも抜群にいい。戸園は現在二十九歳だ。
「いや、絶対に仲良くない。幹さんが勝手にくっついてくるだけだろ」
「えー、そう? 実はももちゃんも嬉しいんじゃない?」
「んなわけあるか」
「仲いいわよ!」
戸園を助けを求めるような目で見ると、苦笑されてしまう。
すると、美容室のドアが開くような音がした。全員が一斉に振り向くと、そこには一人の男が佇んでいた。
「あ、ももちゃんお迎え」
「もうそんな時間? じゃあ、中に入ってちょうだい」
「……」
無言で店内にある椅子に座るのは、元幼馴染の北見稜。十年以上会ったことがなかったのに、ここ最近同居することになったのだ。
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