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その理由を話すと長くなってしまうのだが、簡単に言ってしまうと、橙里が勤める美容室の隣にあるレストランに稜がワインソムリエとして働いており、橙里がそのレストランに行った際に偶然再会したのだ。
稜が住んでいるのが職場から近い高層マンションで、橙里が稜に「住ませてくれ」と言ったところ、奇跡的に了承してくれた。
家賃などを払わない代わりに、稜がやらない家事などを橙里が分担することになって早二週間。毎日稜がこうやって迎えに来てくれている、というわけだ。
高校生の時にされたキスは二人の間ですっかりなかったことになってしまい、橙里も気にしないフリをしつつ実は気にしていたりする。
「……変わったなあ、稜」
高校生の時も女子からかなり人気で、毎日のように告白されていた。それほどかっこよかった稜は歳を重ねても容姿は劣ることなく、寧ろ大人の色気が足されて洗練された大人の男に変貌を遂げていた。
初見の際は見たことあるようなないような、という感じだったが、稜に話しかけられてようやく気づいた。
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