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そう思ったのに、稜は中々首を縦には振らなかった。 「いいっつってんだろ。俺だって家賃払ってねえし」 「えーでも……」 「しつけえ」 ばっさりと斬り捨てられてしまった。 これ以上その話をするつもりじゃない。そう言っているようだった。 だけど、橙里は納得できなかった。どうすればなにか払うことができるのだろうか。 「……もう、身体で払うとかそんな感じしかなくないか?」 軽い気持ちで言ったつもりだったのだが、何故か稜が食べる手を止めた。 顎に手を当て、なにかを思案しているように見える。思案することと言えば先ほど橙里が言ったことくらいしかないのだが。 「……稜さん?」 「それでもいい」 「は?」 「身体で」 「……んん?」

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