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──僕は、そんな稜とセックスをするってことなんだよな。 改めてそう思うと、何故か顔が火照ってくる。それこそ、稜がわかるくらいに。 「……どうした」 「いや……僕とおまえでセックスするんだと思うと、ちょっと」 「おまえが最初に言ったんだろ」 「そうだけどさあ……稜は抵抗ないわけ? 僕を抱くんだぞ?」 敢えて稜の本心に迫るようなことを言ってみる。 すると、稜が何故か顔の向きをわざわざ変え、橙里の顔の近くに顔を寄せる。 キスされるのかと思い目を瞑ると、稜は低い声で囁いた。 「……安心しろ。既に脳内で散々抱いてる」 「……は……?」 その台詞は、橙里の頭の中にある思考を吹き飛ばすのには十分すぎる破壊力を持っていた。 苦いコーヒーの中に甘ったるいミルクが入っているような声は、橙里の脊髄までをも溶かそうとしてくる。 キザなことを言った張本人は橙里のことを置いていくように歩き出していく。 橙里は、赤くなった耳を隠しながら慌てて稜のあとをついて行った。

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