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稜から話しかけてくることはほとんどなく、橙里から話すことで会話が成立する。だが、橙里から話しかけなくなったことで自然と距離は離れていった。 その所為で、大学をどこにするかギリギリまで決まらなかった。 最終的には美容学科がある専門学校を選んだのだが、当然稜は国公立の難関大学を首席で合格。精神的にも肉体的にも、稜と接するのが辛くなってしまった。 卒業後も特に接することはなく、今現在に至る。 やはり何度も思うのは、稜の隣にいるのは楽しいということ。 大人になってから再会し、学生時代では見ることが出来なかった稜が知れて嬉しいと思う反面、何故か少しだけ不思議な感じもする。 学生時代には稜がほとんど笑わなかったから、というのもあるかもしれないが、稜が少しでも口角を上げるだけで動揺してしまっている自分がいる。 更に、端正な顔立ちには色気が足され、大人の魅力が跳ね上がっている。今でさえ稜の顔を直視することに抵抗があるのだ。

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