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橙里は意を決し、稜のくちびるに自分のそれをくっつける。 柔らかいもの同士が触れ、全く荒れていない稜のくちびるが橙里のくちびるを滑るように動かす。 その感覚に橙里は小さく吐息を漏らし、耐えきれなくて橙里からくちびるを離した。 稜は相変わらずの無表情で、橙里のことを嘲笑してから手を差し出してくる。 思わず瞼を閉じると、左の頬に大きい手が触れ、くちびるにはまた柔らかいものが触れた。だが、触れるだけではなく何回か啄むように触れてから、ちゅっと音を立てて離れていく。 「んくっ……」 離れていったすぐあとにまた口付けをされ、今度は舌がゆっくりと咥内に入ってきた。 橙里の頭は稜の右手によって固定されていて、左手で耳の裏や首筋、白い鎖骨などを撫でていく。 「ふ、ぁ……んっ」 稜の唾液が橙里の咥内に入ってきて、橙里はその唾液をこくんと飲み込んだ。

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