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「んはっ……!」
ようやく口が離れ、しっかりと酸素を取り込む。体内が酸素を含んだことにより、血液の流れが少しだけわかる。
鼻が付くほど近い距離にある稜の顔は、相変わらず涼しい顔をしている。橙里のことを瞬き一つせず見ていて、ゆっくりと口から熱い息を漏らしていた。
「……ぁっ」
身体の力を抜いていると、稜が布越しに胸の突起を指先で潰すように弄ってくる。そこは普段触れられるはずがない場所で、キスをされたばかりの敏感な身体には痛いくらいの快感だった。
「ひあっ、あぁう……んっ」
片方は指で、もう片方は薄い生地越しに咥えられる。舌先でつつかれたり、軽く歯を立てられたり。違う方法で与えられる刺激は、橙里にとって快感のスパイス以外の何物でもなかった。
「……感じるんだな」
稜が息混じりにそう呟く。明らかに独り言だろうが、橙里に向けて言っているのは明確だった。
「だって、触るから……はうっ!」
「ふぅん……」
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