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「りょお」 朝。カーテンの僅かな隙間から爽やかな太陽の光が射し込む中、橙里は目の前で寝ている男と一人格闘していた。 橙里は朝も夜も強いのだが、稜は朝がかなり弱い。 毎日橙里は稜と同じベッドで寝ており、起こそうと思えば何時でも起こすことができる。 橙里が何故稜と寝ているのかというと、橙里は寒いとすぐ目が覚めてしまい、その度に温もりを求めて手を無意識的に動かしてしまうのだ。 そのことを稜に話したら、一緒に寝ればいい。と言ってくれたのでクイーンサイズのベッドに二人でくっつきながら寝ている。 橙里も稜も寝相が悪いわけではないので迷惑をかけることはないが、たまに橙里が稜に抱きついている現象が起きている。しかも、そういうときに限って稜の目覚めがいい。 今日は、中々起きない日のようだ。 「稜さん。朝だよ」 当然、稜は応じない。

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