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「……うぜぇ」
橙里が髪を触りすぎたので、稜が目を眇めながらそう言ってきた。
「だったら起きろ。朝ご飯すぐ用意出来っから」
「……ねみぃしだりぃ」
「うるさーい。コーヒー顔にぶっかけるぞ」
こっちだって眠いし怠いんだ、という言葉をなんとか飲み込む。この男に同調を求めることが間違っているからだ。
橙里はいつも壁際で寝ているので、稜を踏まないようにベッドから出る。本当なら踏みたいところだが、そんな子どもみたいなことはしない。
稜は一度起きたら二度寝は絶対にしないので、もう一度眠りにはつかない。
朝食を準備してから稜のことを呼びに行こう。
昨日作っておいた鶏がらスープに卵を割って入れる。そのまま箸でくるくると混ぜ、大体火が通ったところで手を止める。
トースターにパンをセットし、電源を入れてからフライパンを用意した。冷蔵庫から林檎のジャムを取り出し、テーブルの上に置きに行く。
朝ご飯を用意するときは当番制で、毎日交代交代やっている。そのため、今日は橙里が当番だった。
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