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店内を清潔に保つため、髪の毛一本落ちていない状態にする。橙里が店内を掃除するのはルーティンでもあった。
「いや、でも驚きましたね。ももさんはセックスだとか、そういうのに全く興味なさそうでしたし」
関西独自のイントネーションで、礼儀正しく話しかけてくる。先ほどの苛立ちは、既に消えていた。
「そうか? 童貞に見えた?」
「まさか。女性を期待させて期待させて、あとで盛大にフりそうだなあ、と」
「はは、案外当たってるわ」
「ほんまですか。じゃあ、結構女性関係激しかった?」
「あー……そうかも。他の人より付き合った人数は多いな」
「意外」
我ながら派手だと思う。そのときはみんなやってる、とか普通だ、と思い込んでいた。実際、稜なんか女を日替わり定食並みに替えていた。そして、何回も女にビンタされているところを見たことがある。
女はすぐ手が出るから丁寧にお断りした方がいいのに、稜は「飽きた」だの「他に女ができた」とか、女が怒るような台詞で断るからビンタをされると橙里は思っている。
まあ、付き合わなければいい話なのだが。
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