67 / 527

[4]-23

「幼馴染だからって予防線張って、セックスまでしちゃうのかな?」 その言葉は単に揶揄っているように聞こえる。でも、本当はこう言いたいのだろう。 幼馴染という立場を使って、本当はセックスしたいんじゃないのか、と。 瀬島は馬鹿な男に見えて、意外と頭脳戦をするようだ。 なにか失言をしたら一方的に言われ続けるだろうが、橙里は淀みなく答えていく。 「そんなわけないだろ。予防線なんて張ってないし、あいつとセックスしたいってわけじゃない」 「じゃあなにかな?」 「……お金を身体で支払う。それだけ」 結果的に、結論はこうなのだ。 橙里が言い出したことだ。それを言い出しっぺが捻じ曲げることをしたくはない。 顔に力を入れ、瀬島のことを見つめると瀬島が呆れたように笑った。いつもの笑みだ。 「うーん、なにか弱みを握れると思ったんだけどなあ。ももちゃんはガード固いねえ」 「あんたと違ってな」 「うわ、耳が痛い」

ともだちにシェアしよう!