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「幼馴染だからって予防線張って、セックスまでしちゃうのかな?」
その言葉は単に揶揄っているように聞こえる。でも、本当はこう言いたいのだろう。
幼馴染という立場を使って、本当はセックスしたいんじゃないのか、と。
瀬島は馬鹿な男に見えて、意外と頭脳戦をするようだ。
なにか失言をしたら一方的に言われ続けるだろうが、橙里は淀みなく答えていく。
「そんなわけないだろ。予防線なんて張ってないし、あいつとセックスしたいってわけじゃない」
「じゃあなにかな?」
「……お金を身体で支払う。それだけ」
結果的に、結論はこうなのだ。
橙里が言い出したことだ。それを言い出しっぺが捻じ曲げることをしたくはない。
顔に力を入れ、瀬島のことを見つめると瀬島が呆れたように笑った。いつもの笑みだ。
「うーん、なにか弱みを握れると思ったんだけどなあ。ももちゃんはガード固いねえ」
「あんたと違ってな」
「うわ、耳が痛い」
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