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家に着き、手を洗うと稜がワインの準備をする。本当に飲ませるつもりらしく、ワインセラーにも向かった。 ──まさか、何本も飲ませるつもりじゃないよな。 稜と酒を飲んだことは何回かあるが、そこまで飲んだことは無い。稜はかなり酒に強く、どれだけ飲んでも全く潰れない。 橙里はすぐにベロベロになるというわけでもないが、酔うか酔わないかは時間の問題だ。 「やべー……酔ったら記憶失くすんだけど……どーしよ」 橙里がなにかしたわけでもなく、瀬島が稜のことを挑発するようなことを言ったと思うのだが、どうしてこうも橙里に返ってくるのだろうか。 稜が取ってきたのは白ワインで、口当たりはさっぱりしていそうだが、度数はどうなんだろう。 稜がラベルを確認して「ん」と言いながら少し頷き、テーブルの上に置く。 ワインを飲むときのつまみは稜が準備してくれるので、橙里は座ったままだ。

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