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稜から差し出された薬を飲み、もう一度横たわり息をふうっと吐く。
稜も隣に仰向けで寝て、目を閉じる。横からでもわかる鼻筋の通り具合はイケメン特有のものだった。
「稜、眠い?」
「いや、そんなに。おまえに蹴られて起きたからな」
「えっごめん」
普段橙里は寝相がいい方なのだが、悪いときは本当に悪く、深い眠りに入っている稜をも起こしてしまうほどに悪い。
橙里は身体の向きを稜の方に向け、話す体勢にした。
実はずっと気になっていたことがあったのだ。
「稜って、なんでワインソムリエになろうと思ったの?」
「……」
「おーい。狸寝入りか?」
「初めてワインを飲んだとき、すげえ感動して。ワインについてもっと知って、色んな人に飲ませたいと思った」
「へーえ。結構しっかりしてるんだね」
てっきりお金が多く貰えるからと思っていたが、全く違うようだ。
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