97 / 527

[6]-13

そして、学生時代に比べればかなり丸くなった。笑うことも少しだけ増え、接しやすくなったと思う。 だからこそ、甘えてしまうのだ。 「はー、風呂入んの面倒臭いな」 何気なくそう言うと、稜が提案をしてきた。 「……なら入るか」 「え?」 「俺と」 稜と風呂に? どうせかなり綺麗な身体をしてるんだと思う。そんな男に裸を晒すのは情けなくなってくるが、この際どうでもいい。 醜態を見られるより何十倍もマシだ。 「二人入れるほど大きい?」 「一人でもかなり余裕あっただろ。平気」 「じゃあ早く帰って早く入ろう? その方が楽でしょ」 「……面倒臭ぇって言ってたのはどこの誰だよ」 稜がそう言いながら苦笑する。 このときの橙里は、あんな醜態を晒すとは思っていなかった。

ともだちにシェアしよう!