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「ふー、あったか……」
家に着いてからすぐにお湯を張り、今は浴槽に入っているところだ。
やはりというか、稜はかなり美しく均整の取れた身体をしていた。橙里はガリガリというわけでもないが、バキバキというわけでもない。
要するに、標準ということだ。標準よりも少しだけ筋肉はついている。
稜が前髪をかきあげ、いつもは隠れている額を晒す。
前髪がなくても男前で、更に男らしさが増す。何故稜が前髪を下ろしているかというと、学生時代に橙里が下ろした方が好きだと言ったからだと思う。
意外と忠実なのだ、この男は。
ちなみに、橙里も稜に言われて前髪を作っている。前髪がない方が大人っぽく見えていいのだが、稜が前髪がある方が好きだと言っていたので仕方なく下ろしている。
我ながら、お人好しだ。
「おまえ、細すぎ」
「しょーがないじゃん。食べても太らないんだもん」
「食って寝て食って寝ろ」
「おいっ」
適当すぎる。
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