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「身体洗ってやろうか」
「……身体?」
身体くらい自分で洗えるけど。
まあ、たまには稜にやってもらうのも悪くないかと思い、橙里は「よろしく」と言った。
稜が浴槽から出て、橙里の後ろに椅子を置いて座る。橙里を鏡の方向に向けさせ、稜がボディソープを取った。
そのままタオルで洗われると思いきや、何故か稜の手が触れてくる。
体温に馴染まない、冷たい液体が背中を垂れていく感覚が直に伝わってきて、鳥肌が立ってしまいそうになる。
稜の顔を見る為に振り向くと、稜が無表情なのに滑稽さを含んだ顔をしていた。
こういうときの稜は、なにか悪いことを企んでいるに違いない。
「……稜さん?」
恐る恐る稜の名前を口にすると、稜が口だけでふっと笑った。
「おまえって学習しねえよな」
「はっ……まさか、今やるとか言わねーよな?」
「……そうだけど?」
「ええっ?」
「頑張って払え」
──ああー!
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