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羽村とは気が合うため、よくこんな話をする。ファッションの好みや、食の好みまで合うのでたまに二人で出かけることがある。
羽村の髪は、いつも戸園が染めていた。
「黒髪の羽村さんも見てみたいんだけど」
「うーん……地味なんだよね。写真見る?」
そう言いながら羽村が携帯の画面を見せてくる。
そこには珍しく黒髪の羽村と戸園が写っていた。
「うわ、羽村さん若っ」
「これ十年くらい前だもん。多分蒼樹専門学生だよ」
「待って。蒼樹といつくらいに知り合ったの?」
「うーん、丁度このくらいかな。蒼樹がカラーリングの練習したいっていうから髪の毛貸してあげてたんだよ。だから、ずっと俺の髪は蒼樹が染めてくれてんの」
「へー……そういうことだったんだ」
じゃあ、羽村の髪の色は蒼樹の好みだということだろうか。羽村は無料で髪を染められるし、蒼樹は練習できるということで成り立っているのだろう。
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