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とりあえず、あとで稜に電話をしよう。
きっと稜も来るだろうから、稜と一緒に行けばいい。
今日の弁当は橙里の好物が入っているはずなのに、何故か急に喉を通らなくなった。
頭を抱えていると、休憩室に誰かが入ってくる。矢本だ。
「……どうしたの? 頭痛?」
「いや……ちょっと」
矢本が橙里の真ん前に座り、弁当を広げる。矢本も休憩に入るらしい。
矢本に話しても理解してもらえるとは思わないが、今は誰でもいいからなにかを吐き出したかった。
「……今週の土日、休むわ」
「ふーん。なにかあんの?」
「葬式」
そう告げると、矢本の動きが止まる。きっと、葬式ごときでそんな風になっていることが可笑しいのだろう。
そう思ったが、どうやら違うようだ。
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