166 / 527

[11]-3

とりあえず、あとで稜に電話をしよう。 きっと稜も来るだろうから、稜と一緒に行けばいい。 今日の弁当は橙里の好物が入っているはずなのに、何故か急に喉を通らなくなった。 頭を抱えていると、休憩室に誰かが入ってくる。矢本だ。 「……どうしたの? 頭痛?」 「いや……ちょっと」 矢本が橙里の真ん前に座り、弁当を広げる。矢本も休憩に入るらしい。 矢本に話しても理解してもらえるとは思わないが、今は誰でもいいからなにかを吐き出したかった。 「……今週の土日、休むわ」 「ふーん。なにかあんの?」 「葬式」 そう告げると、矢本の動きが止まる。きっと、葬式ごときでそんな風になっていることが可笑しいのだろう。 そう思ったが、どうやら違うようだ。

ともだちにシェアしよう!