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「……そっか。ご愁傷さま」 「……ああ」 「誰? 親戚?」 「そう。すげえ優しくしてもらったおじさん」 「……それは悲しいよね。お疲れ」 その言葉に、橙里は思わず矢本の顔を見てしまう。真面目な顔つきで、橙里のことを馬鹿にしているようなものは一切感じられなかった。 「……」 「なに?」 「いや……おまえがそういうこと言うとは思わなかったから」 「人が亡くなったのにざまあとか言うわけないでしょ。それくらいの常識はあるから」 膨れたように目を吊り上げてから弁当を口にしていた。なんとなく申し訳ないと思ってしまう。 今のうちに食べておかないと後々お腹が減ってしまうので、食欲がなくなったものの無理やり詰め込んでいく。 「なんかなー……喪失感がすごいっていうか」 「……」 「人が死ぬってこういうことなんだ、って思い知らされるよな」 矢本に向かってでもなく、独り言のようにぶつぶつ言うと、矢本が口の中のものを飲み込んでから言ってきた。

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