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「幹さん」 「はあい?」 カットを終えた幹を捕まえ、休みを貰う為に話すことにした。 「今週の土日、葬式があるから休みたいんだけどいい?」 「あら……そうなのね。全然構わないわよぉ」 幹から許しを貰ったので立ち去ろうとしたそのとき、幹に止められた。 「あ、待ってちょうだい!」 「ん?」 そう言いながら幹が手渡してきたのは白いタオルが入った袋だった。 「泣いたらこれで拭くのよ?」 「いや、ハンカチで拭くから大丈夫。稜もいるし」 「稜って……あのソムリエのことかしら?」 「そう」 近くにあった椅子に座り、長く細い脚を組む。すると、ガラス張りになった壁から稜の姿が見えた。ソムリエ姿のままだ。

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