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「ねえねえ。二人の馴れ初めってなに?」
「馴れ初めって……」
「あー! アタシも気になるー!」
「ねー!」
幹が二人もいる。
「物心ついたときには隣にいたよ。それからはもうずっと一緒」
「マジで? えーいいじゃんいいじゃん」
「小学生の頃は一緒にお風呂入ったりしたの?」
今もたまに入るけれど。
この質問に答えるのはなんとなく癪で、稜の目を縋るように見ると稜がため息を吐いた。
「……こいつが一緒に入りたいとか言って」
「あらー!」
「うわ、ももちゃん大胆」
「子どものときの話だからな? 今は……違うかもしれないし……」
言葉を濁すと、目敏い瀬島が食いついてきた。
「え? ってことは今も一緒に入るってこと? 二人で?」
「やだー! アタシきゅんきゅんしちゃうー!」
「……」
「……」
やってしまった。
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