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終始顔を赤らめながらセットをし、いつもより稜の色気が増えたところで終了した。
稜を立たせ、タオルを取ってから背中をぽんと叩く。すると、稜がポケットから財布を取り出し、中をごそごそと弄る。
「やだあ、お金なんていいのよ?」
幹がそう言うと、稜が幹に向かってふっと微笑む。幹が胸を両手で押さえながら真後ろに倒れてしまった。
「幹さーん!」
「かっこいいわ……なんてかっこいいのかしら……」
胸を押さえたままぶつぶつと呟く。そんな幹を冷ややかな目で見ていると、稜が六枚の券のようなものを取り出して瀬島に渡していた。
「ん」
「なにこれ? あ、優待券じゃん!」
「お礼。これ持って店来たらサービスしてやるよ」
そう言い残し、稜が扉を開けて去って行った。瀬島も幹も橙里も固まる。
──破壊力の高さが。
瀬島が券を握りながらため息を吐いた。
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