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「……稜! 下着入れた?」
「入れた。おまえは俺の母親か」
「あっ、ここにあったドライヤー知らない?」
「おまえが自分でそこに入れたんだろ」
「あれ? 明日って何時に新幹線乗るんだっけ?」
「始発だよ。ていうか、うるせえ」
金曜日の夜、慌てて稜と二人でパッキングをしていた。
本当は土日だけの予定だったのだが、その次の月曜日がレストランの定休日で火曜日が美容室の定休日のため、月火と休みを頂いたのだ。
そのことを祐子に言うと、実家に泊まればいいとのことなので、持っていく荷物を整理していた。
「うーん。これどっちにしよう。ねえねえ、どっちがいいと思う?」
ニットを二つ手に取り、稜に問いかける。すると、稜が面倒くさそうに目を眇めてから二つを手に取って橙里の身体に当ててきた。
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