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「……もういい。訊いた俺が馬鹿だった。葬式前にする話じゃねえ」
「稜……?」
「早く着替えろ。あんまり遅いと不審に思われる」
そう言いながら稜は橙里に背を向けた。その後ろ姿は近くにあるのに何故か遠くに感じて、哀しくなった。
あともう少し手を伸ばせば触れられる距離にいるのに、そのあと少しがやけに遠い。
縮まりかけた距離が急に遠のいた──そんな感じがした。
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