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椅子にもたれかかるように上を見つめていると、その視界に尋が入ってくる。
元気のない橙里のことを心配してくれるようだ。
「……橙里くん、大丈夫?」
「ああ……大丈夫だよ」
尋に手を引かれ、その場から立ち上がる。そのまま手を繋がれ、それを振り払う気力もなかった。
会場の外の椅子に座るように促され、その動きがやけに大人びていて、思う。
みんな、知らない間にどんどん大人になっていく。
橙里も大人になったなら、稜も大人になった。時が経つにつれて、一緒に過ごしたときにはもう二度と戻れない。
そう、思うと。
「……早いな」
「なにが?」
尋に渡されたペットボトルの蓋を開けながらそう呟くと、尋がそれに反応した。
本当は尋に弱いところを見せたり弱音を吐いたりするのは嫌なのだが、隠すと却って心配されてしまうかもしれない。
橙里は、どう説明するかを考えてから口を開いた。
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