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「なんかな……尋くんは知ってるかもしれないけど、稜とは幼馴染だったんだよ」
「うん」
「でも、高校卒業してからつい一ヶ月前まで会ったことなかったんだ」
「えっ?」
尋がびっくりしたように硬直した。その様子だと、ずっと一緒だったと思っていたのだろう。
「十年以上会ってなくて、久しぶりに会ったときは本当に驚いたんだ。大人になってたし……かっこよくもなってたし。でも、それと同時に知らない稜がどんどん出てきてすごい戸惑った」
「……うん」
「それは今でもそうで、ふとした瞬間に昔の稜になるけどやっぱり違うなって思っちゃうんだよ」
中学生相手にこんな話をするべきではないのに、つい話してしまった。
尋からしたらただの他人事なのに、相槌を打って話を聞いてくれるのがなんだかありがたかった。
「……橙里くんはさ」
「うん」
「今の稜さんと昔の稜さんを比べてるんじゃない?」
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