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尋のその言葉が、やけにしっくりくるような気がした。
「そりゃ十年も経ったら変わると思うよ。色々知るだろうし、年齢も重ねるし。だから、橙里くんがそう思うってことは稜さんもそう思ってるんじゃないのかな」
「……そうかもな」
「うん。色気とか大人っぽさとか。そういうのも兼ね備えてくるから、稜さんも最初橙里くんのこと見たとき驚いたんじゃないかな」
尋が真剣に向き合ってくれるのが嬉しくて、つい顔が弛んでしまう。
中学生だというのに、ちゃんと人のことをよく見ている。それが少し意外だった。
「だから、今の稜さんと向き合うのが一番大切なことだと思う。そりゃ学生時代の稜さんと比べちゃう気持ちもわかるけど、今の稜さんも稜さんなんだからさ」
「そうだね……尋くんはすごいね」
「……少しくらい役に立ったならいいんだけど」
そう言いながらはにかむ尋は、やはりかわいらしくもあり大人びてもいる。
成長する、ということはこういうことなのだろうか。
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