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「まあ、稜さんもすっごい男前だしね。見たときは衝撃だった」
「そうでしょ。あの男と幼馴染だったんだよ」
「すご。俺から見たらただの顔面偏差値高すぎる人たちだけどね」
そんな尋の言葉に、橙里が笑う。その光景は傍から見たら仲のいい兄弟のように見えるが、稜から見たら違う。
橙里の弱いところに漬け込むような尋の行動に、正直苛立ちが隠せない。
稜が変わっただの何だの言われるが、実際橙里の方がずっと変わった。
学生時代はどちらかと言えばかわいらしい部類に入っていたにも関わらず、大人になって再会してみればかなり大人の色気が足され、ふとした瞬間に大人らしさが溢れるのだ。
そんな橙里に、惑わされないことなんて出来るだろうか。
自分のことばかり棚に上げて──そう思うのだが、不思議と苛立ちは湧いてこない。
それは、橙里に対して何らかの感情があるからなのだろうか。
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