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「……おいしい」
実家に帰り、やはり会話がない状態で食卓を囲む。その場には父である洋介と姉である千咲がいたので会話が途切れることはなかった。
「いやー、稜くん本当にかっこよくなったよね! あたしが見たときなんてまだまだ子どもだったのにさー……いやー時が経つのは早いなあ」
「橙里と仲良くしてくれてありがとうね。橙里はこう見えて結構弱いから……」
「おい。失礼な」
橙里の母と父は親バカというもので、とにかく千咲と橙里のことが大好きなのだ。照れくさくなるが、これが愛情表現なんだと思うと嬉しい。
寿司を口の中に入れて咀嚼していると、康と尋が風呂から上がってきた。浴衣姿だ。橙里も稜も既に風呂から上がっていて、同じく浴衣姿だった。
「どうだった?」
「気持ちよかったー。橙里くんやっぱり浴衣似合うね」
「ありがとう」
何故浴衣なのかというと、祐子が浴衣が大好きなので橙里は家にいるときはほとんど浴衣姿のときの方が多い。
当然来客の前でも浴衣なので、緩くなりすぎないように注意しているが。
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