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「ねえねえ、稜くんって今彼女いるの?」
すると、突然千咲がそんなことを訊いた。その目は男を狙っている目で、内心やはりかと思う。
そういえば、千咲は何年か前にも稜の容姿が好みだと言っていた。
容姿の好みというのは似るものなのだろうか。
「いや……いないです」
「えーっ。そんなにかっこいいのに? 職業ってなにやってる?」
「ワインソムリエです」
「かっこいいー! なんで彼女いないの? 告白されすぎてるとか?」
我が姉ながらかなりグイグイ行くな。
その様子を父と苦笑しながら見守っていると、稜が衝撃的なことを言う。
「こいつが彼女作ったら拗ねるんで」
「はっ!?」
──こいつ、僕のことを盾にしやがった。
姉の目論みを知っていながら橙里のことを使うのは非常に汚い。だが、これも怒っている証拠なのだろう。
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