208 / 527
[12]-30
「でも、あまり後半喋ってなかったですよね。喧嘩でも?」
「うーん……喧嘩っていうよりそれっぽい感じの雰囲気になったかな」
刺身を口に入れると、康が驚いたように動きを止めた。
「そうなんですか……それはまあ、うーん……」
「稜がかなり怒ってたことだけはわかるんだけどね。……どうしよ」
頬杖をつき、くちびるを尖らせると康がある提案をしてきた。
「どうせなら夜這いしたらどうですか。あの人も流石に反応すると思いますけど」
「夜這い? なにそれ」
「まあ簡単に言うと寝床に忍び込む、みたいな」
「へえー……面白そうだね」
稜はきっと寝ているだろうし、稜が起きるまでなにかをするというのも面白いかもしれない。
機嫌が悪かったら永久に無視されてしまう可能性も大ではあるが、折角だから。
ともだちにシェアしよう!