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「でも、あまり後半喋ってなかったですよね。喧嘩でも?」 「うーん……喧嘩っていうよりそれっぽい感じの雰囲気になったかな」 刺身を口に入れると、康が驚いたように動きを止めた。 「そうなんですか……それはまあ、うーん……」 「稜がかなり怒ってたことだけはわかるんだけどね。……どうしよ」 頬杖をつき、くちびるを尖らせると康がある提案をしてきた。 「どうせなら夜這いしたらどうですか。あの人も流石に反応すると思いますけど」 「夜這い? なにそれ」 「まあ簡単に言うと寝床に忍び込む、みたいな」 「へえー……面白そうだね」 稜はきっと寝ているだろうし、稜が起きるまでなにかをするというのも面白いかもしれない。 機嫌が悪かったら永久に無視されてしまう可能性も大ではあるが、折角だから。

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