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「……そんなしょうもない理由で尻の穴に指突っ込んでたのか」
「いや……ごもっともで」
橙里が正座して稜の前で経緯を話すと、思い切り呆れられてしまった。稜も何回もため息を吐いている。
お互い半裸の状態でなにをやっているのだろうか。
「……なんか、稜が怒ってるっぽかったから……」
「怒る? ……ああ、あれは」
稜が珍しく罰が悪そうに目を逸らす。艶のある黒髪をくしゃくしゃと乱した。
「おまえにじゃねえよ。自分に怒ってたんだよ。なんであんなこと言ったんだって」
「あんなこと……?」
「いや。とにかく、おまえに対して怒ってるわけじゃねえから」
その言葉を聞いて、ずっと身体に入っていた力が一気に抜けた気がした。
よかった。稜は、橙里に対して怒っているわけではなかった。
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