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「……よかったぁ……」
思わずそう声を漏らすと、稜が怪訝そうに眉を寄せた。
すると、稜が先ほどの橙里の行動に質問を投げかけてきた。
「で? おまえはなにやってた?」
「……えっ」
「尻の穴に指突っ込んでたろ」
まっすぐ見つめてくる稜の瞳から逃れようとすると、さらに稜が追及してくる。
「まさかなにも使わないで指だけ突っ込んだんじゃないよな」
「……」
「……おい」
「だって……指突っ込むこと出来るって聞いたから」
「誰に」
「瀬島さん」
「あいつかよ……」
瀬島という名前が出ただけで不機嫌顔になる。本当に嫌いなんだと思うと、瀬島の話題をするのが億劫になる。
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