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「ろーしょん……ですか」 「使ったことくらいあるだろ」 「あるけど! 使われるとは思ってなかっただけで」 これ使わねえと痛えから。と付け足し、横に振る。それは明らかに新品で、橙里に使うためだけに買っているようなものだった。 一体いつ買ったのだろうか。 「……おまえはわかんねえだろうが、既に一式用意してたんだよ。だから、元々抱く気ではあったから」 「そうなの?」 「ああ」 帯の結び目を掴み、ぐいっと稜が橙里のことを抱き寄せた。稜の顔は見えなくて、広い稜の肩に顎を乗せる体勢となる。 すると、稜が小ぶりな橙里の耳に低く甘い声で囁いてきた。 「ゆっくりって言っただろう」 「っ!」 「……とろとろになったら、挿れてやるよ」 焦れったいような、むず痒いようなその台詞は、これからもこういう関係になるということを示しているような気がして、なんだか嬉しかった。

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