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「……冷てえかも」 そう前置きしてから、稜がローションを橙里の尻に垂らしてきた。確かに冷たく、液体がとろとろ垂れ流れていく感覚が気持ち悪かった。 「うー……わ、冷て」 「だから言ったろ」 「えっ、もう挿れちゃう? 挿れちゃう?」 「黙れ。あと、あんまり動くな。俺も初めてだから」 ──初めて。 経験豊富な稜が、初めて男のところに指を入れる。その相手が橙里ということに、不思議と優越感が湧いてきた。 稜の首に腕を回し、ぎゅっとしがみつく。稜の手が臀部をさわさわと揉み、指を入れようとしていることがわかった。 目を力強く閉じ、痛みに耐えようとすると稜が小さく囁く。 「……力抜け」 「あっ、……あっ!?」 その言葉の意味を理解しようと目をぱっと開けた瞬間、稜の指が入ってきた。

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