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目が覚めたときは、車内だった。寝たままの体勢で目を開けると誰もいなくて、ゆっくりと起き上がると稜が座っていた。 どうやら、稜の太ももの上で寝ていたようだ。 「……あれ?」 「もう終わった」 稜が丁寧に紙に包まれた十円玉を差し出してきた。それを受け取ると、疑問が浮かび上がる。 「……なんで僕寝てたんだ?」 「俺が寝させた」 「なっ……」 悪びれもせず淡々と稜が告げるのを見て、大きな脱力感に苛まれた。 そのまま座り、もう一つ疑問が浮かぶ。 「なんであんなことしたの? ばれたらとんでもないことになるはずなのに……」 「おまえが泣いているところを他の奴らに見せたくなかった」 「……えっ」 「俺でさえ泣きそうになったんだ。おまえなんて泣き崩れるだろ」

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