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「……なんで俺までやんねえといけねえんだよ」 「しょうがないじゃん。僕だけでやったら腰悪くするわ」 「三十路だからな」 「お互い様にな」 銭湯にあるようなブラシで床を擦っていく。稜がため息を吐きながら掃除をしていた。 無駄に広いので、掃除するのがかなり大変だった。小さいころは文句を言いながら掃除をしていたのだが、まさか稜と掃除することになるとは思わなかった。 「……でかすぎるな」 「そうだねー……平屋建てだし、和風だからおおきくしたかったんだろうね」 橙里の言葉に特に反応するわけでもなく、じっと見つめてくる。稜がそう顔を見つめてくるのはなにか言いたいことがあるときで。 「なに? なにが言いたい?」 「……」 「おい。無視すんなこら」

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