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稜と橙里を除く全員が固まって居間を出て行き、少し前まで静かだったのに急に静寂が訪れた。 居間の隣には祐子と洋介の寝室があるから、あまり深い話は出来ないかもしれない。 度数の高くないチューハイを口に含み、飲み込む。稜は日本酒をごくごくと飲んでいて、酔う気配は一切なかった。 「……静かだな」 「ああ」 独り言を言うと、無視するかと思ったのに意外にも返してきた。余程稜にとっても静かなのだろう。 この時間を共有するのがなんだか新鮮で、座椅子の背もたれに体重を思い切り預けた。ミシミシと音がする。 右隣にいる稜の顔を横目で見ると、いつもと違い窶れているような気がした。 「……どうした?」 「疲れた」 「珍しいな。そういうこと言うの」 「色々ありすぎたんだよ。あの女にも会うし、惣作さんも亡くなるしな。こんなに色々あったのは初めてだ」 稜が前髪をかきあげた。それにより浴衣が少しだけ乱れ、綺麗な形をした鎖骨がさらに表れ、胸筋も見えた。

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