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稜には感動させられてばかりだとつくづく思う。心の支えになっているのはなんだかんだ言って稜だった。 「どうせおまえのことだ。いい歳して泣くなんてみっともねえとでも思ってるんだろうな」 「……ご名答で」 「でも、そんなのに歳なんて関係あるか? 涙を我慢出来るなんて余程感情がない奴か、そういう出来事に直面してもなんとも思わない奴か」 「……」 感情がない奴というのは稜のことなのか、ということは絶対に言わない。 「おまえは感情があるだろ。嬉しいときや寂しいときは素直にそう言うし、顔にも出す。俺にはそれが丸わかりなんだよ。それこそ呆れるくらいに」 「……」 「だから、俺をもっと呆れさせてみろよ。その頃には互いに何歳になってるんだろうな」 「……いいの? 僕、相当うざくて面倒臭いけど」 恐る恐るそう口に出すと、稜が呆れたように笑った。 「知ってる」

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