252 / 527
[14]-29
稜には感動させられてばかりだとつくづく思う。心の支えになっているのはなんだかんだ言って稜だった。
「どうせおまえのことだ。いい歳して泣くなんてみっともねえとでも思ってるんだろうな」
「……ご名答で」
「でも、そんなのに歳なんて関係あるか? 涙を我慢出来るなんて余程感情がない奴か、そういう出来事に直面してもなんとも思わない奴か」
「……」
感情がない奴というのは稜のことなのか、ということは絶対に言わない。
「おまえは感情があるだろ。嬉しいときや寂しいときは素直にそう言うし、顔にも出す。俺にはそれが丸わかりなんだよ。それこそ呆れるくらいに」
「……」
「だから、俺をもっと呆れさせてみろよ。その頃には互いに何歳になってるんだろうな」
「……いいの? 僕、相当うざくて面倒臭いけど」
恐る恐るそう口に出すと、稜が呆れたように笑った。
「知ってる」
ともだちにシェアしよう!