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「稜は僕が傍にいても飽きない?」
「……愚問だな」
稜が冷笑した。赤く腫れた顔を上げ、稜に顔を見せると頭を優しく撫でてくる。それはまるで動物にするような、慈愛に満ちた手つきだった。
「おまえといて飽きることなんてねえよ」
「……っ……」
「俺が飽きるとしたら、おまえが離れていくときだな。おまえが傍にいる限り、飽きることなんてない」
先ほどの顔とは違い、優しさを含んだ顔でそう見つめられた。
橙里が傍にいる限り。
それは恐らく稜の傍にいてもいいということを遠回しに言われているということでいいのだろうか。
体育座りをして、丸めた膝に顔を埋める。稜が背中を優しくぽんぽんと叩いてきた。
「……もし」
「……なに……?」
「おまえが一人で生きられなくなったら、俺が一緒に生きてやるよ」
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