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「……おはよ」
なんとなく気まずいまま、夜を明かした。まだ康と尋は起きていないらしい。
当然稜とは同じ部屋にいて、お互い十分に寝れていない。なので、稜の顔にも橙里の顔にもクマが出来ていた。
「うわ!クマやばいじゃん。隠せば?」
「や、いいよ」
特に気後れせずに千咲に応じると、洋介が明らかに動揺した様子で持っている新聞をかたかたと震わせながら聞いてきた。
「とっ、と、橙里は……そ、その……い、い、い、今付き合ってる子とか……いい、いるのか?」
「……」
いきなりそう聞かれてしまった。やはりその質問は来るだろうと思っていたが本当にされるとは。
とりあえず今は彼女がいるのかどうかという質問の為、それだけ答えよう。
「いないよ」
「……そ、そうか……」
「橙里さあ、昨日稜くんとなにしてた?」
稜を狙っているであろう千咲が鋭い目でそう聞いてきた。
ちらりと稜のことを見ると、稜も橙里のことを見ていた為すぐに目が合った。好きだと自覚したばかりでこの状態で平常は装えないので、稜に丸投げすることにした。
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