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「若いっていいわね。そんなに言うなら、幸せになりなさい。私は否定しないから」 「……ありがとう」 「まさか橙里と稜くんがなあ。昨日気を利かせて正解だった」 洋介が子供のように無邪気に笑う。それを見届けてから、橙里は稜のことを呼び出した。 廊下は冷たい外気に包まれていて、早めに話を終わらせようと稜に向き合う。 「……なんだよ」 「いや……なんだよって、こっちの台詞だっつーの」 自分より高いところにある稜の顔を見つめる。その顔も橙里に向いていて、不思議と見つめ合うことになってしまった。 「あんなのさあ、僕と稜が付き合ってるって言ってるようなもんじゃん」 「それで?」 「……稜はいいのか?」 言っている意味がわからない、というように稜が右の眉だけをぴくりと上げた。 稜が首筋をさすり、橙里から目を逸らす。それも一瞬で、すぐに橙里に向き直った。 「それは、おまえと俺が付き合ってるように把握されること? それとも、俺の恋人がおまえだということ?」 「……よくわかんないんだけど」

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