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「……ふぇえっ……?」
更に強く抱きしめられ、橙里は変な声を出しながら赤面する。なんで急にそんなことを言うのだろうか。
やはり今日の稜はおかしい。それでも、大好きな相手にそう言われて嬉しくない人間なんてこの世に存在するのだろうか。
やっぱり自覚してしまう。
自分は、稜以外の人間と生きるつもりはないのだと。
*****
「……ふう」
壁にある時計を見上げ、休憩時刻になったのを確認してから手を洗って休憩室に向かった。その途中、京都で買った土産を羽村と戸園に渡す為紙袋を手に持ってから向かった。
抱きしめられてからの記憶は一切なく、あの温もりの所為で仕事に集中することが出来なかった。
あのまま橙里が抱きしめ返していたらどうなっていたのだろうか。
そう思いながらドアをゆっくり開けると、話し声がした。
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